今期の酒造りで、最初に搾ったお酒を初揚げといいます。新酒が無事に仕上がったことを祝う蔵内行事の名でもあり、酒蔵にとっては大きな節目となります。蔵人らは、搾ったばかりのこのお酒を酌み交わして祝宴を開き、今年もこの日を迎えられた安堵とこれから続く200余日の酒造りに邁進する決意を新たにするのです。

今日蔵出しされる「祝・初揚」は、初搾りのその稀少なお酒を少量ずつ瓶詰めし、皆さまとともに新酒の完成を祝うための限定酒です。「今年の初揚は、おおらかな旨味となめらかな口当たりが特長です。さらに甘味、酸味、旨味、苦味の四味のバランスが非常によく整った仕上がりだと思います」と、板谷和彦杜氏。醪を力強く醗酵させてしっかりと完熟させたこと。生酒をより的確に熟成させる搾りの技によって生まれた、新しい味わいです。純米酒らしい堂々とした素直な味わいは、肴を選ばず、新鮮な旬の食材全般と相性がよいと杜氏。福光屋が純米酒の理想とする、「旨くて軽い」に通じる仕上がりとなったと、小さく胸を張ります。杜氏と16名の蔵人で挑む平成最後の酒造り。今期の酒造りの標となる第一作目を存分にお楽しみください。