百万石城下の茶屋建築とその文化――金沢ひがし廓 志摩 | こめから.jp | お米のチカラで豊かに、上質に。

志摩

金沢散歩

KANAZWA

2017.10.16.

百万石城下の茶屋建築とその文化――金沢ひがし廓 志摩

加賀藩の政策の一つとして「東のくるわ」が誕生したのは江戸時代・文政3(1820)年のこと。現在は「ひがし茶屋街」と呼ばれ、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された一帯は当時の面影を色濃く残しています。このひがし茶屋街の中ほどに、全国で唯一、茶屋建築として国の重要文化財に指定された「志摩」があります。東のくるわが誕生した同年の創業、金沢を代表する名所であり、当時の茶屋建築と文化を知る上でも非常に価値のある空間です。茶屋建築の特徴である2階を客間とし、押し入れや物入れなどはなく開放的な造りに、引手には七宝焼をほどこすなど贅をこらした造作とその意匠が見どころ。拭き漆で仕上げられた木部や畳床まで建築当時のままを保ち、約200年間受け継がれた美意識に満ちています。

お茶屋とは、わずかな上流町人に許された社交の場で、当然一見さんお断りの世界でした。お客が床の間を背にして座ると、その正面の控えの間が舞台となり、芸妓の艶やかな遊芸が披露されます。ここでの遊びといっても、三弦、笛、舞、謡曲から俳諧にまでおよび、お客の方にも高い教養と芸事を解する力量が求められ、いわば文化サロンであったともいえます。お茶屋での洗練された遊芸はもとより、贅沢な造りの建物と季節に合わせたしつらい、そして優美で繊細な道具立てによるもてなしによって、お茶屋の文化が形づくられたのです。

金沢の茶屋文化と加賀百万石の栄華に触れるひととき。見学の締めくくりに、別棟の「寒村庵」で庭を眺めながらお抹茶と老舗菓子舗の上生菓子をいただくこともできます。

DATA

金沢市東山1-13-21 TEL 076-252-5675
開館時間/9:00~18:00 休館日/無
入館料/一般500円、お抹茶と上生菓子は別途700円
http://www.ochaya-shima.com/

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