ツラと香りでみきわめる

醪の泡は、さまざまな表情を見せて変化し続けます。軽い泡(水泡)から岩のように盛り上がり(岩泡)、さらにきめ細かく濃厚に、表面を覆うようになっていきます(本泡)。やがて高い泡となり(高泡)、数日後には次第に引いて(引き泡)落ちつくと、こんどは大きな玉のような泡(玉泡)が浮かんできます。玉泡が消えてしばらくすると発酵完了です。このように変化する醪の表情を「ツラ」といいます。
同じように醪の香りも変化します。酵母が活発に活動し、炭酸ガスが発生しはじめるとツンと鼻をつくような香り(ツン香)がし、発酵が進むにつれて果実のような香りとなり、発酵が完了するころには、酒独特の芳香が漂います。杜氏はこのツラと香りで発酵の状態をみきわめるのです。


しぼりのタイミング

お酒が最高においしくなった瞬間、タイミングを逃さず搾る‥これが福光屋のやり方です。当り前のようですが、発酵日数が固定されていて、それに応じて搾るというやり方が一般的なのです。しかし、醪は生きていますから、ほんの一日搾るタイミングがずれただけでも、お酒の味は大きく変化してしまいます。福光屋では杜氏の勘に加えて、それをサポートする独自のデータ指標を用いて、タンクごとに、ベストのタイミングで搾ります。


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