酒の種類によって酵母を使い分ける

清酒酵母は1mmの200分の1ほどの小さな微生物です。1Nのなかに約3億もの酵母を増やし育てることによって、はじめて酒造りが可能になります。酵母はその株によっていろいろな性質をもっており、酒質に応じてよい香りを醸し出す酵母、味を濃くする酵母、酸の多い酵母などを使い分けます。さらに、バイオ技術を駆使して新しい独自の酵母をつくるなど、より理想的な酵母を求めて、たゆまぬ研究を続けています。


ふたつの"もと"

福光屋では伝統的な手法である「山廃もと」と「速醸もと」という速成的手法を併用して酒造りをしています。「山廃もと」とは、水、麹、蒸米を混ぜ合わせ、じっくりと酵母を育てる方法です。何万、何億とも知れぬ微生物の中から、清酒酵母だけを純粋に増やす‥‥自然の原理を利用した日本人の英知の結晶ともいえる手法です。「速醸もと」が約15日ほどでできあがるのに対して「山廃もと」は、倍の日数が必要です。手間はかかりますが、できあがった酒はコクがあり、しかもキレのいい味わいとなり、手間をかけるだけの価値があるのです。


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